横浜美術館

【横浜】改修による長期休館前最後の展覧会がすごい(その2)!横浜美術館コレクション展「ヨコハマ・ポリフォニー:1910年代から60年代のヨコハマと美術」展(2020年11月14日土曜日〜2021年2月28日日曜日まで)

横浜美術館コレクション展「ヨコハマ・ポリフォニー:1910年代から60年代のヨコハマと美術」に行ってきました。1910年代から1960年代といえば、大正期から高度経済成長期に相当します。

この展覧会名の「ポリフォニー(polyphony)」とは独立した複数の旋律とリズムの声部から成る「多声音楽」を意味するそうです。

1910年代から60年代に、横浜で育まれた作家たちの声と創作の響き合いを楽しめる展覧会となっていました。 

有島生馬とセザンヌ、イサム・ノグチと岡田謙三、岸田劉生、長谷川潔、常盤とよ子、藤田嗣治、福原 信三、川上澄、鏑木清方、伊東深水、佐伯祐三、片岡球子、ギュスターヴ・モロー、オーギュスト・ロダン(順不同))・・・ここでは書ききれないほどの作家たちの作品が「横浜」という土地を介して、ハーモニーを奏でています。

横浜美術館は休館日が月曜日でなく、木曜日なので、月曜日は比較的空いていておすすめです私個人の経験によるので、混んでいる場合もあります。)。
会期:2020年11月14日(土)~2021年2月28日(日)

*新型コロナ対策として、オンラインによる日時指定予約制なので、お気をつけください。

開館時間:10時~18時 ※入館は17時30分まで

休館日:木曜日(2021年2月11日を除く)、2020年12月29日(火)~2021年1月3日(日)、2月12日(金)

観覧料(税込)

一般 500円
大学・高校生 300円
中学生 100円
小学生以下 無料
*企画展「トライアローグ展」ご観覧当日に限り、トライアローグ展のチケットでコレクション展もご覧いただけます。
*障がい者手帳をお持ちの方と介護の方(1名)は無料
*毎月第3月曜日は横浜市在住の65歳以上の方無料(要「濱ともカード」提示)

 ▼トライアローグ展のチケットは別のサイトになります。

www.e-tix.jp

1月17日現在、横浜美術館のある神奈川県も緊急事態宣言下にあります。横浜美術館さんより、緊急事態宣言中のチケットについて払い戻しのアナウンスがありましたので、高齢者の皆さん、基礎疾患のある方など、不安を感じる方はご無理さなされず、一度、払い戻しを受けて、緊急事態宣言後に楽しみを延期されるのも良いかもしれません。詳細は横浜美術館さんのホームページでご確認ください。

 

横浜の歴史を振り返られる、素敵な展覧会だったので、特別鑑賞会の後、友人と再訪しました!

友人は横浜育ち、私は横浜の高校に通っていたので、ふたりで京浜東北線や京浜急行線沿いのローカルな地名で盛り上がり、とっても楽しかったです。

一方で、関東大震災で破滅的に破壊された横浜を紹介する第3章にはショックも受けました。ここから復興して、みなとみらいのある横浜、昔からの飲屋街のある横浜(子供の頃は一人で通ったらいけないと言われたのも懐かしい。)になっていったんだなあと感心しました。

横浜に縁がなかった方は、「このひとも横浜ゆかりの作家なの!?」みたいな発見がたくさんあって、今後、横浜に来るのがますます楽しくなる構成だと思います。

展示構成はなんと第10章まで!大規模改修前とはいえ、「こんなに展示してしまって良いのですか?」というほど、お得過ぎる展覧会です。横浜、おしゃれなだけでなく、誰でも受け入れてくれる、気前もいい街でもあるのです。

 

序章 憧れの西洋美術

第1章 横浜美術協会創設前後―川村信雄とその周辺

第2章 フランスへの旅立ち

第3章 関東大震災からの復興

第4章 新版画の興隆―鏑木清方から石渡江逸まで

第5章 横浜懐古―川上澄生の世界

第6章 横展写真部創設

第7章 ニューヨークでの活躍―岡田謙三とイサム・ノグチ

第8章 前衛美術のパイオニア―斎藤義重

第9章 ハマ展の洋画家と彫刻家

第10章 「今日の作家展」

 

序章 憧れの西洋美術では、横浜生まれの画家・有島生馬(作家・有島武郎の弟)が渡欧し、文芸誌『白樺』でセザンヌを紹介したことを知りました。この紹介が、当時の日本人美術家に大きな影響を与えたそうです。

▼左より、セザンヌに憧れた有島生馬《背筋の女》(1909、明治42年)が、ポール・セザンヌ《縞模様の服を着たセザンヌ夫人》(1883-85)、《ガルダンヌから見たサント=ヴィクトワール》(1892-95)と並んで展示されています。

f:id:Berlaarstraat0707:20201213161753j:plain

 第2章 フランスへの旅立ちでは、藤田嗣治《腕を上げた裸婦》(1923、大正12)と株式会社資生堂の初代社長であり、写真家でもあたった福原信三の写真が並んでいます。資生堂の研究所も横浜にあるので、深いつながりがあるのでしょう。

f:id:Berlaarstraat0707:20201213161841j:plain

昨年、資生堂ギャラリーで福原信三の展覧会がありましたが、資生堂の製品のパッケージのセンスの良さは、社長だった福原信三の影響も大きいのだな、と感じました。

mooi-desu.com

また、フランスに渡り、当時のフランスでは廃れていたメゾチントを復興させ、どう版画家として活躍した長谷川潔の作品も多数、展示されています。

▼左より、長谷川潔《アレキサンドル三世橋とフランスの飛行船》(1930, 昭和5)メゾチント、《奇術》(1925,大正14)ドライポイント、手彩色

f:id:Berlaarstraat0707:20201213235121j:plain

第3章 関東大震災からの復興では、関東大震災で壊滅的な被害を受けた横浜の様子が、柔らかな色彩とほのぼのした人物表現の版画で展示されていたのが印象的でした。まだ100年も経過していない過去に、横浜付近がこんな状況になるほど、大きな地震があったことは忘れてはいけないと再認識することができます。コロナ禍で気が滅入ってしまうこともありますが、復興した人間のエネルギーを感じる作品には勇気付けられました。

▼左上:織田 觀潮《横浜桜木町駅》『大正震火災木版画集』より(1923-1924, 大正12-13年)、右上:田村 彩天《野外学校平塚所見》『大正震火災木版画集』より(1923-24, 大正12-13), 左下:田村 彩天《野毛の山から (横浜)》『大正震火災木版画集』より(1923-24, 大正12-13年)、右下:織田 觀潮《相州片瀬川附近》『大正震火災木版画集』より(1923-24, 大正12-13)

f:id:Berlaarstraat0707:20201213161909j:plain

第4章 新版画の興隆―鏑木清方から石渡江逸まででは、チャールズ・バートレットやフリッツ・カペラリのような、日本人以外の新版画家の作品を見ることができます。国際色豊かな横浜を感じました。緑色の表現に、少し西洋の緑を感じたのは私だけでしょうか。

▼左より、チャールズ・バートレット《横浜根岸の雪》(1916)、《横浜磯子》(1916)といった、京浜東北線の駅名でも知られている横浜の1910年代の光景を描いた新版画、フリッツ・カペラリ《江戸城》(1915)が並びます。 

f:id:Berlaarstraat0707:20201213162139j:plain

第5章 横浜懐古―川上澄生の世界では、粋な横浜を見ることができます。

▼川上澄生《版画集『横濱懐古』》(1942,昭和17)

f:id:Berlaarstraat0707:20201213162328j:plain

第6章 横展写真部創設では、今回、私は初めて知った写真家・常盤とよ子の写真が目を引きました。戦後の米軍と横浜付近の女性の関係も赤裸々に撮影しており、厳しい時代を生き抜いていた女性たちがいたことを忘れてはいけないと感じました。常盤とよ子さんご本人が横浜美術館に寄贈してくださっているのも興味深いです。《追想》の女性の視線がとても印象的でした。

▼常盤とよ子《窓》(1955,昭和30, 1988 print)、《路上》(1954,昭和29, 1988 print)《待合室》(1956,昭和31, 1988 print)《追想》(1969,昭和44, 1988 print)

f:id:Berlaarstraat0707:20201213162216j:plain

第7章 ニューヨークでの活躍―岡田謙三とイサム・ノグチでは、当時では珍しい、モンテッソーリ教育を取り入れていた森村学園出身の二人の作家の交流を紹介しており、二人の作品が対立せずに共存している、今までの章とは異なる、不思議な空間になっています。

▼岡田謙三とイサム・ノグチの作品

f:id:Berlaarstraat0707:20201213162415j:plain

第10章 「今日(こんにち)の作家展」では、写真の右にある、大胆な筆使いとたっぷりの絵の具が印象的な白髪 一雄《梁山泊》(1967,昭和42)、初めて見た時にびっくりした吉村益信《大ガラス》(1969,昭和44)などを見ることができます。どの作品も個性的で、良い意味で「目のやり場に困る」空間です。

f:id:Berlaarstraat0707:20201213233653j:plain

 

▼特別展示Iには、横浜を代表する陶芸家・宮川香山の超絶技巧の作品が展示されています。他の美術館での展覧会でも拝見する機会がありましたが、横浜美術館の広々とした、明るいスペースで鑑賞するのが一番だと思います。

▼《高浮彫大鷲雀捕獲花瓶》(明治前期)

私の写真では作品のすごさを全く伝えられないので、ぜひ実物を見ていただきたいです!

f:id:Berlaarstraat0707:20201213162530j:plain

まだ、サイトにはアップされていませんが、向かわれる前にオンライン・トークをご覧になると、一層、楽しめると思います!

<動画テーマ>
①長谷川潔の作品と技法
②奥村泰宏と横浜
③林敬二氏 自作を語る

yokohama.art.museum

f:id:Berlaarstraat0707:20201213232440j:plain
東京とはいえ、横浜まで電車で10分という土地で育ったので、横浜美術館ができた時にはすぐに、桜木町から横浜美術館に向かったのを思い出します(みなとみらい線が通っていなかったので)。

当時は、みなとみらいには高い建物がなく(1993年にランドマークタワーが開業。)、ほぼ何もない埋立地にどーんっと建っていた横浜美術館は、今以上に迫力のある堅牢な建物に見えたものです。初めて入ったときに両側の大階段に驚き、数々の大きな彫刻に友人と顔を見合わせ、「?」となったのも懐かしい思い出です。そんな状況から、「横浜美術館のあれだ〜。」みたいに、所蔵品の数々に親近感を持てるようになったのは、いつも手を替え品を替え、素人が面白いと思えるような展覧会を企画し続けてくださった、横浜美術館の皆さんのおかげだと思います。

長期休館まで2ヶ月以上あるので、また鑑賞させていただきたい展覧会です。

*ヨコハマミライトというライトアップも始まりました!

2020年11月12日~2021年2月14日 16:00~23:00緊急事態宣言中はライトアップの時間が変更されている可能性があります。

 ▼横浜美術館にも程近いパシフィコ横浜のイルミネーションは

※緊急事態宣言により17:00~20:00に変更

 との記載がありました。

hamakore.yokohama

▼ヨコハマミライトの動画を見つけました。足を運べない方も動画で楽しんでください。

www.youtube.com

-横浜美術館

© 2022 アーモンドの花を探しに Powered by AFFINGER5